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最愛の子供 松浦理英子 [本]

松浦理英子の新作。女子高校生たちが、疑似家族を作るような話だというので、女子高出身者としては、あまり食指は動かなかったが、読んでみた。


結論としては、面白くない。「わたしたち」という正体不明の一人称が妄想を含めて物語を進めていく。「私たち」は、疑似家族3人の周囲にいる女子高校生たちであることは間違いがないのだが、まず、これが心地よくない違和感。だいたい、「わたしたち」みたいに女子高校生がまとまるはずがない。


3人の関係性に焦点があてられているのだが、別に面白くもなんともない。そして、最後の数ページで、いきなりやたらと感傷的になる。評価できない。とても好きな作家だったし、寡作なので、残念だ。

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オーロラの向こう側 オーサ・ラーソン [本]

スウェーデンのミステリ。シリーズもので、3作目を読んで面白かったので、1作目であるこの作品を読んだ。


主人公は、首都の一流法律事務所で働くタックスロイヤー。出身地である北部で起きた殺人事件に否応なく巻き込まれて、という話である。たぶん、スウェーデン北部地方の、都会からみたエキゾチックさなどが、私には理解できないところもあって、その辺の面白さというのはよくわからない。ただ、主人公が、歓迎されない(嫌われている)人々の間に帰って行って、彼女を嫌っている人たちが、彼女の高価なコートや靴を見ていた、というような描写が、小気味いい。彼女が高価な服を身に着けているから、それが「見返した」ことになるのではなくて、挑戦して、都会での厳しい仕事をし、その対価として高収入を得たことは、彼女の選択の結果である。彼女は負け続けていないということだ。


話の展開は暴力的に過ぎるようにも思われるが、この主人公の女性がかなりよく描けている。作者が女性ということもあるのだろうが、女性警官など、概して女性の登場人物にリアリティがある。そして、被害者遺族である彼女の旧友の、真の姿が最後に再確認されて、こういう人はときどきいるよね、簡単な小説じゃなかったね、と思わせる。


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悪いうさぎ 若竹七海 [本]

本好きなつもりなのに、この作家の名前をアメトークで聞くまで知らなかった。文庫もたくさん出ているのだが、装丁がライトノベル風で、本屋で見て買うことはないな、という感じ。


この作品は、おそらく作者と同年代の装丁の女性探偵のシリーズものの一つで、いくつか読んだが、これが一番面白かった。このシリーズは、主人公が、「永遠の28歳」みたいな感じではなくて、読者や作者と一緒に年を取っていく。しかも、家賃7万円のアパート住まい、などということになっており、「バーでギムレット」のような探偵よりも、ずっとありそうな人物設定なのである。物語は、やや慌ただしく、ハードボイルドにすぎるが、表現や背景に流れるトーンに独特の洒脱のセンスがあるところはよい。

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熊と踊れ アンデス・ルーシュルンド ステファン・トゥンベリ [本]

スウェーデンで実際にあった連続銀行強盗事件をモデルに書かれたという小説。

テーマは「暴力」である。「熊と踊れ」というのは、犯人の兄弟たちのDV親父が、長男に「熊と踊るように人を殴れ」と教えたから。

前半やや退屈だったが、後半になって、兄弟の2人が抜け、どのような帰結になるのだろうと思い始めたころから、一気に読ませる。共著者の一人が、モデルになった事件の犯人の兄弟の一人(犯罪には参加していない)だという。スウェーデンのミステリというのは、非常に社会性が高いものが多く、関心する。移民や暴力の問題が深刻そうで、決して夢のような社会ではないのだろうけれども、こういう作品が次々と出てきて、受け入れられるというのは、日本よりも大人な社会なのではないか、と思う。 


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コンビニ人間 村田沙耶香 [本]

明るい題名とは裏腹に、あまり読後感の良い小説ではなかった。「読後感が良くない」というのは、作品として優秀ではないということではなく、普段目をそむけているものを見せられたからのような気がする。だから、私は、これはすぐれた作品だと思う。コンビニ店員でいることが、唯一社会の歯車となるための手段で、それでもなお社会に適合することができない人の話だ。

題名の「コンビニ人間」というのは、考えようによっては、SFとかファンタジーとか不条理小説とか、そういうものに通じる訳だ。それでも、これはリアリズムであるから重いという小説だった。


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濡れた魚 フォルカー・クッチャー [本]

ブックオフで100円だった。ドイツの警察小説というのを読んだことがなかったので買ってみた。時代は、なんと第二次世界大戦前夜、ナチが台頭する前夜である。

主人公の警官は、父親のコネで地方警察からベルリンの警察に回してもらい、功を焦るあまり、無断捜査をした挙句、正当防衛で人を殺してしまう。さらに、その死体を隠したり、証拠をすり替えたり・・・・と、普通の警察小説の主人公よりは、だいぶ悪い奴なのである。しかも、愛すべきところも、魅力もない。野心が強いだけ。主人公自身が犯罪者の警察官ということろは、ちょっと変わっていたが、全体としては面白くなかった。 


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オーランドー ヴァージニア・ウルフ [本]

「両性具有」の主人公などと帯に書かれているので、面白そうと思って読んでみたが、疲れてしまって、最後の最後までは読み切れなかった。90%位読んで、第六章で挫折。「あー、これがモダニズムかー。」と思ってからも少し読み進めたが、お腹一杯になった。

軽妙な語り口(翻訳の手腕かもしれないが)とそれなりのプロットで前半は、イギリス貴族オーランドーの伝記かつ冒険譚みたいなものも楽しめた。 ちなみに両性具有というのは、最初男性だったのが、突然女性になったことをそう言っているらしい。オーランドーは終始その人生(300年!)で詩を書くことに執着していて、これが意味ありげではあるのだが、後半は実験小説臭さが気になって楽しめなかった。解説によれば、モデルがいるらしい。こちらの方が面白い。


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ソラリス スタニスワフ・レム 沼野充義訳 [本]

昔見た、「時計仕掛けのオレンジ」だったか、とにかくその手の映画に、未来の音楽再生装置が出てきて、それは当時はテープ録音の時代だったから、ウォークマンやマイクロカセットテープよりも、小さい、それでもカセットテープを再生する装置だった。その後すぐに音楽はデジタル化されて、今ではCDすら不要になり、デジタルプレーヤーさえあればよいという世の中になっている。この超小型テーププレーヤーのことを思い出すたび、私は人間の想像力の限界と、発想の転換の困難さを思う。その映画の当時は、テープ再生装置が超小型化する、ということまでしか想像できなかったのだ。

だから、「これは宇宙人の写真だ」というものを見たり、映画のスターウォーズを見ても、いつもこのプレーヤーのことを思い出し、本当の宇宙人は、そんな2本足で、 頭がひとつで、目や口があって、そもそも形があるもので良いのか?と思う。とんでもない形や大きさをしていたり、そもそも形さえなかったりするのではないか、という疑惑だ。

この小説は、ソラリスという惑星へ行った人間の話で、ソラリスの生命体というのは、その点、かなり奇抜で、上の私の「想像力の限界」「発想の転換」というところでは、かなりいい線を行っている。もともとポーランド語で書かれた作品で、最近ポーランド語から直接訳したというのがこの翻訳だ。ソ連時代は、検閲されて削除された部分があったらしい。典型的なSFとは少し異なり、「ソラリス学」についての詳細な系譜の紹介が有ったりするのが、リアリティを付加していて、こんなこともあるかも、と思わせる。


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赤く微笑む春 ヨハン・テオリン [本]

スウェーデンのミステリ。ハヤカワ・ポケットミステリを買うと、いつも少しわくわくする。

警察小説ではない。父親が事件に巻き込まれた一般人の息子が、少しずつ関係者をあたっていく。ただ、その過程が結構長くて、関係者も多く、ついていくのに苦労する。事件の背景に、ポルノ産業の特色がある、ということだけが、この小説のからくりというか面白みで、それ以外は余り面白くなかった。

しかし、そういえば、昔は、スウェーデンというのは、そういう意味で「ススンデイル」国だったが、いつの間にか、もうポルノなんて、日本でもネットでも溢れるようになってしまった。 海外旅行へ行って、雑誌を買ってこっそり持ち帰るなんて、可愛いものだった。


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渚にて ネビル・シュート [本]

1957年作の近未来小説。舞台は1961年。核戦争で5000発の核爆弾が使用され、爆弾が落ちなかった地域にも高濃度の放射性物質が迫ってくる、という、今の日本人にとっては恐ろしくリアリティがある話。

既に北半球は全滅し、放射性物質は徐々に赤道以南に迫り、オーストラリアのメルボルンでは、「あと半年」という緩慢な死を前にして、なんとか日常生活や社会秩序が保たれている。ガソリンはないのに、電気は来るの?とか、最後の日になっても電車が動いているの?レストランが営業している?とか、疑問点は多々あるが、「あと半年で誰もが同じ死に方をする。」「どこへ逃げてもいずれ同じ。」「故郷や家族は既に全滅しているはず。」という状況に直面したとき、人はどうするのか、自分だったらどうするのか、という問いを投げかける小説である。

この小説の中では、そいういう状況の元、パニックも暴動も略奪も(ほぼ)ない、と言うことになっているが、人間はそんなに高尚だろうか?それとも、「半年」を「60年」に置き換えてみれば、単に相対的な残された時間の多少の違いに過ぎないのだろうか。ちなみに、私は自分だったら、どうするかというと、本を読みたいのと、美しい景色を見たい。 


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